七夕の夜なのに

ひょうきんなツイートばかりが伸びていく。

バーベキューには、浅漬けを持っていくといいらしい。友人がブログにそう書いていた。またすこし、バーベキューをしてみたい欲が湧き上がった。バーベキューの知識やスキルなんて、チュートリアルの漫才程しかないから実際にやるとも出来るとも思ってないが、なんとなく今年はしてみたいよねってバーベキュー出来なさそうな人達と話をしてる。歩だけ集めた将棋のように。全員レベル1。やたらチープな海鮮丼、スターの離脱した野球チーム。例えは色々あるけれど、しかし、俺たちはスマブラで言うところのアイスクライマー。吹っ飛ぶけど、吹っ飛ばせるんだ。そう思っていくしかない。今年の夏は。

今日は行きずりのおじいさん(77歳)にとんかつ定食とコカコーラを突然ご馳走になったり、通りすがりの見知らぬ外国人にいきなり英語でディスられたりした。外国人についてはただただ悲しい話だったが、おじいさんは初対面のくせしてえらい僕の事を気に入ってくれていろんな話をしてくれた。

おじいさんはカツオさんというそうで、僕をみるなり「育ちボンボンだろ?長男じゃねえな?」と言ってくれたのだが、国内屈指の自転車の窃盗率を誇る、ドンキホーテが家の周りに2つもあるような下町生まれの長男であることを告白し、詫びた。ちなみに古着屋で話し掛けられて、そのまま定食屋に連れて行かれた。連れて行く方もどうかしているが、ついて行く方もどうかしていた。今思えばだけど。「今日は歌詞を上げなきゃいけないんだけどなあ」なんて思いながら、ひょいとついて行ってしまった。すこしだけ、反省してる。

カツオさんはとても若い方で、兄ちゃん女はいるのか?女好きか?なんて話をたくさんしてくるすけべジジイ(敬意を込めて)だった。男前だからなあ、と。世のおじいさんおばあさんは、僕の事を男前と言ってくれる唯一の生き物なので大事にして行かなくてはいけないし年金もちゃんと払わなくてはいけない。国は、俺が支えるという精神。べたなお世辞は国をも動かす。

すけべジジイ(敬意を込めて)は、中学生でもしないような淡いエロの話ばかりしてくれるので面白いヒトだなあ、かわいいヒトだなあなんて思っていたのだが、そんな余計な事を考えていたからか「寝る時、女性がどんな格好してたら興奮するか?」という問いに対してつい「ジェラートピケ…」と口にしてしまった。ジェラートピケが良いだなんて一切思った事もないし、77歳にジェラートピケと口走った事に関しても深く反省した。何言ってんだ僕は。七夕の夜に。耳触りのいい、字面でしか笑えないような事ばっかり口にして。昔、付き合っていた人に別れ際、似たような事を言われたのを思い出した。言葉のセンスが生まれ持ってひとよりあるばっかりに。ひたすらに無念。

反省した僕は、すぐに「パジャマは着込んで貰ってた方がいいですね」と訂正した。

そのあと、定食屋のおばちゃんが持ってきてくれた薄い麦茶を口に含んだ途端、カタカタと音を立てて首を振る扇風機のぬるい風が僕らのテーブルに向かって吹いたので、あっという間に夏が来た。紛れもなく、これは夏だと思った。

パジャマを着込む季節なんて、程遠かった。
七夕の夜なのに。

おやすみなさい

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